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腹診 のヒント
藤井です。こんにちは。三日月では治療の際、腹診をさせて頂く事もあります。
東洋医学の腹診は、お腹を触らせて頂きながら、お腹の緊張度や弾力性、硬結、圧痛、腸の動き、腹部大動脈の拍動の様子などを見ます。患者様のお体の全体的な具合を把握して、治療方針を立てるために行います。東洋医学の専門用語がたくさん出てきますが、今日のヒントノートは「腹診」について考えてみました。
五臓の診所
肝の診所は臍の左下、側腹部、胆経の帯脉穴 より居リョウ穴までの部 。
心の診所は中 月完 穴の少し上より、鳩尾穴にいたる部。
脾の診所は臍を中心にその下一寸の陰交穴より中 月完 穴の部。
肺の診所は右肋骨弓(季肋)下の日月穴、腹哀穴 より、臍の右側に及んでやや斜めの位置。(左の肺の比較も診断のポイントになります。)
腎の診所は陰交穴より恥骨上際に至る部。
腹診における望診のポイントについて。
皮膚の色の生気を診ます。(虚実の判定)
皮膚の艶・光沢・病的変化、五色の分別が重要です。
これは、病気の軽重(虚実の判定)の判定になります。
また、
傷、手術痕、白い斑。 粉をふいた部位。赤い斑点。シミ。ホクロ。大きいホクロの際。
シワの先端。シワの交点。毛穴、毛並み、毛の立つ方向、体毛のない部位。
などをも診ます 。
特に、 肺の診所は左右の肺の比較も診断のポイントになります。
また、臍の型の診方として、
丸臍型は正気得る型。横臍型は正気虚損。立臍型は正気溢し邪気に変わる型と診ます。
腹診のみかた。
① 患者さんをベッドに(仰向けで寝させ、腹部を緩やかにし、その両手は軽く両側に置かせ、心身を平静に保たせ、両足を自然に伸ばした状態でうけてもらいます。
② 診者は患者さんの左側に立ちます。
③ 診察の手順、
まず、腹部の望診をします。
その後、左手の指腹にて極めて軽く静かに切診(触診)します。
これは、各診所の気の虚実を触察する為です。
切診(触診)の順番は大腹、肺、心、脾、小腹、肝、腎の診所です。
④ 切診(触診)のポイント:大腹と小腹を比較し、各経絡の配当診所につき虚実を診ます。
「虚の証」はその診所がやや落ち込んで力なく、艶なく、潤いを失い、
又は、陥下・冷え・皮膚のざらつき・力なく軟弱・フワフワしている等です。
「実の証」はやや盛り上って力があり、圧ば跳ね上がるが如くにして痛みを訴えます。
又は、硬さ・突っ張り感・按じての不快感や痛み・滑りがいい所・等です。
7、正常な腹部について。
腹診を正確に行うためには、正常な腹部についての理解が必要です。
それは、胸部はその肋骨が滑らかな皮膚と筋肉にて緩やかにおおわれ、呼吸と動悸が静かで和緩を帯び、その胸郭は正しく発育して、胸骨剣尖(鳩尾穴)より季肋部に向かって肋骨弓が正しく発育し(ほぼ90度)、大腹、小腹は虚実・寒温に偏らず潤沢です。
また、臍は型整い丸く小さく締まるものを平人無病の腹と言い正常な腹部と判断します。
8、大腹、小腹について。
腹部全体が固く実して、例えるなら、太鼓の皮を押すようなものは実症です。
その極端なものを張満と言い「脾胃の変動」と診ます。
大腹力なく、小腹張り満るものを「上虚下実」と言います。
反対に大腹、張り満ち、小腹力なきは「下虚上実」の腹部と診ます。
大腹、小腹とも陥下し古綿に触れるものは虚腹・軟弱とみて「脾腎の虚」です。
側腹部を押して著しく陥下するのは、「肝気の虚」にして、にわかに中風を起こす場合あり。
9、動悸(拍動)について。
① 虚里の動について。
左乳下部において診ます。心尖泊動のことです。
これは、有るが如く無きが如く静かに触れるものを 良候とします。
動悸激しく衣服の上よりも見える如きは悪候です。
その部を軽く按じて激しく触れるものは「気虚の候」です。
このような虚里の動、激しきものは心・肺に急激な病を起こす徴候です。
② 腎間の動悸について。
臍下丹田(腎の診所)の部に静かに手を当てその動悸を観察し、
緩やかにして正しく摶動し和緩を帯びるものを良候と診ます。
また、この部の生気の有無、肌肉の弾力を診て総合的に判断します。
古典に曰く「難経八難」には寸口脉平にして腎間の動悸絶するは死。とあります。
これは、慢性病を長期に患っている患者に診られます。
③ 陰虚火動の動悸について。
小腹より動悸せわしく、大腹に攻め上がり息づかい荒きものは「陰虚火動」の症状です。
これは、脾・腎の虚にして救い難き悪候です。
④ 病邪憎悪の動悸について。
各臓器の診所において、手を跳ね上げる如き動悸を触れるものは病邪憎悪の悪候です
■胸脇苦満
肋骨の下からみぞおちに張り感があり、押すと痛い。肝臓や胆道の病気、ストレスを感じている人に多い。
■胃内停水
みぞおち付近をたたくと、胃の中でポチャポチャと水音がする。水分代謝が悪く、胃に水がたまっている。
■心下痞硬
みぞおちのあたりがつかえた感じで、押すと痛みや不快感がある。消化器系の病気に多い。
■少腹急結
左の下腹部を押すと強い痛み。お血(血の停滞)がある婦人科系の病気でみられる。
■小腹不仁
下腹部の筋肉が弱く、押すとやわらかくへこむ。腎の精が不足した腎虚でみられる。
■拍動を触れる
心下部・・・みぞおちのあたりで動悸を感じる。
臍上部・・・へその上で拍動を感じる。
臍下部・・・へその下で拍動を感じる。