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血液検査 のヒント
こんにちは。藤井です。病院で受けられた
血液検査
について、患者さんにお聞きすることがあります。今日のヒントノートは、血液検査の結果について、治療にどう役立てるか考えてみました。
○血圧
血圧の判定基準(単位:mmHg)
左の数値は最高血圧(収縮期血圧)を、右の数値は最小血圧(拡張期血圧)です。
至適血圧…120 かつ 80未満
正常血圧…130 かつ 85未満
正常高値血圧…130~139 または 85~89
軽症高血圧…140~159 または 90~99
中高症高血圧…160~179 または 100~109
重症高血圧…180以上 または 110以上
収縮期高血圧…140以上 かつ 90未満
検査結果の見方
最高血圧が120mmHg未満で、最低血圧が80mmHg未満の状態が至適血圧と呼ばれ、最も理想的な血圧です。正常血圧(最高血圧130mmHg未満、かつ最低血圧85mmHg未満)は合併症のリスクが少ない範囲、正常高値血圧(最高血圧130~139mmHg、または85~89mmHg)は高血圧ではないけれども注意が必要な数値です。
最高血圧が140mmHg、最低血圧が90mmHgを超えると高血圧と診断され、数値によって「軽症」「中等症」「重症」に分類されます。高血圧は糖尿病や心臓病(心筋梗塞、狭心症など)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)の合併症がある場合にはリスクが高くなります。
○白血球数
高値の範囲 10000以上
基準値の一般的範囲 3500~9800
低値の範囲 1000(1500)以下
白血球数の基準値の範囲一覧表では10000以上は高い数値の範囲に分類されておりますが、妊婦さんの場合は「10000以上~12000程度」までの高値の白血球数を継続的に示すことがよくあります。
【検査数値が高い場合の疾患の可能性一覧】
●尿毒症
●赤血球増加症
●急性出血
●急性溶血
●悪性腫瘍
●慢性骨髄性白血病
疾患との関連性がないが数値の上昇をもたらすケース
●過度のストレス
●激しい運動の直後
●喫煙
低下状態を示す際に発症リスクのある疾患一覧
●白血球減少症
●インフルエンザ感染
●再生不良性貧血
●脾臓の機能亢進
●急性白血病
●骨髄異形成症候群
●悪性貧血
●全身性エリテマトーデス
多くの要因として考えられるのは骨髄の造血機能の低下。
もしくは白血球を死滅させる働きを持つ脾臓の機能が過剰に働いているなどの可能性が検討されます。
尿酸
成人男性は血液1dl中4.0~6.5mg/dl、成人女性は3.0~5.0mg/dlが尿酸値の正常値とされており、7.0mg/dlを超えると、尿酸値が高過ぎる「高尿酸血症」と診断されます。
高尿酸血症の基準が7.0mg/dlなのは、尿酸が血液に溶けきれる限界の数値だからです。とはいえ7.0mg/dlを超えたからといって、すぐに痛風の発作が起こるというわけではありません。
高尿酸血症の状態が長く続くと、余った尿酸が徐々に結晶化し、関節の壁にこびりついて固まります。そして、暴飲暴食や激しい運動、ケガ、ストレスなどをきっかけに、こびりついていた結晶が関節液の中にはがれ落ちたときに、激しい痛みを伴う痛風発作が起きるのです。
発作の激痛のメカニズム
結晶がはがれ落ちたときに、激痛が走るのは、はがれ落ちた結晶を体が異物とみなし、白血球を使って攻撃するからです。白血球は、異物を排除するときに、自分の細胞の中に取り込んで、酵素で溶かそうとしますが、このときに放出されたさまざまな化学物質が、毛細血管を拡張させて、血流を増加させることで、赤みや腫れを引き起こし、それと同時に激痛を引き起こします。
以前は、「尿酸値が高いだけであれば、人体に特別悪いことはない」などと言われていました。しかし、高尿酸血症や痛風は、腎機能障害、尿路結石だけではなく、高血圧、心血管障害、メタボリックシンドロームとも関連が非常に深いことが近年では分かっています。
GOT
GOTは体の重要な構成要素であるアミノ酸をつくりだす酵素の一つです。体のさまざまな臓器に含まれていますが、特に肝臓と心筋や骨格筋、腎臓の細胞に多く含まれています。これらの臓器に障害が起こると、障害された細胞に比例した量のGOTが血液中に漏れ出します。
基準値(JSCC法)
GOT(AST)…35IU/l以下
GOTとGPTが示しているのは、現在壊れている肝細胞はどの程度かという値です。肝臓は再生可能な臓器ですので、壊れた量だけ再生できれば機能は低下しません。したがって、検査値が多少基準値を超えても、総合評価で「異常なし」であれば、心配する必要はありません。
GOT 500IU/l以上 … 急性肝炎、心筋梗塞など
GOT 100~500IU/l … 肝炎、肝臓がん、アルコール性肝障害、心筋梗塞など
GOT 33~100IU/l … 慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、心筋梗塞など
GOT < GPT … 慢性肝炎、脂肪肝
GOT > GPT … アルコール性肝障害、肝硬変、肝臓がん、心筋梗塞
GOTが基準値を超えているなら、症状とγ-GTPをはじめとする他の血液検査の結果を見ながら、肝臓、心臓、筋肉の病気を疑い、さらに詳しい検査を行います。これらの病気がある場合、GOTだけが高値になることはほとんどありません。急性の肝炎や心筋梗塞などでは、発症1~2週以内の経過が重要になるので、連日繰り返してGOTを測定することもあります。
一方、GPTは、GOTと似た変動を示すため、両者に異常値がみられた場合は肝障害を疑い、精密検査を行ないます。急性肝炎や劇症肝炎などでは、GOTの場合と同様に、急性期の発症1~2週以内の経過が重要になるので、連日繰り返してGPTを測定することがあります。GOTの上昇が強く、GPTの上昇が軽度のときは、心筋や骨格筋の障害を考えます。
GPT
GOTは肝細胞に最も多く含まれていますので、この数値の異常ではじめて肝臓病が発見されることがあります。一方、GPTは心筋に多く存在するので、心筋梗塞を診断する手がかりにもなります。
基準値(JSCC法)
GPT(ALT)…35IU/l以下
GPT 500IU/l以上 … 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪
GPT 100~500IU/l以上 … 急性肝炎、慢性肝炎、閉塞性黄疸
γ-GTP
γ(ガンマ)-GTPは、肝臓の解毒作用に関係している酵素でアルコールに対して敏感に反応します。腎臓に最も多く含まれ、次いで膵臓、肝臓、脾臓、小腸にもみられます。
とくにアルコールに敏感に反応し、しかも肝臓や胆道の病気があると、GOTやGPTなど、ほかの酵素よりも早く異常値を示す特徴があるので、この検査は一般にアルコールによる肝臓障害の指標となります。
基準値(JSCC勧告法)
男性…50IU/l以下
女性…30IU/l以下
アルコールの影響で高値になるケースが多くみられます。再検査を受ける場合には、禁酒が必要となります。数値が改善されていれば、アルコールによる異常値と判断できます。
また、胆道に結石や腫瘍ができたりして、胆汁が流れにくくなった状態でもγ-GTPは上昇します。胆汁がうっ滞すると、胆嚢炎や胆管炎を起こす原因となります。胆汁は脂質の代謝を助ける重要な物質です。胆道がなんらかの原因で狭くなったり閉塞すると、胆汁の流れが障害され、小腸での脂質の消化・吸収が上手くできなくなってしまいます。
異常値の場合は、GOT・GPTなど、ほかの肝機能検査結果と併せて診断する必要があります。GOT・GPTも上昇している場合は、肝炎、肝硬変、肝臓がんといった疾患が疑われます。
γ-GTPのみが上昇している場合は、胆道の異常が疑われます。結石や腫瘍などで胆道が閉塞していると、炎症(胆管炎)を招いてしまうので、早期の治療が必要です。
肝臓は再生能力の高い臓器ではありますが、アルコールの過剰摂取や喫煙、過度のストレス、疲労など不適切な生活習慣を続けていると、肝硬変から肝臓がんへと進行することが知られています。
眼圧
眼圧は10~20mmHgが正常範囲とされています。
眼圧とは「目の中の圧力」、「目の硬さ」のことを言います。目の中で一定量の水(房水)が作られ、それと同じ量が目から流れ出ていくことで、眼圧は一定に保たれています。
目の中で作られる房水の量が増えたり、流れ出る量が減ると眼圧は上がり、逆の場合には眼圧は下がります。目を球形に保つためや、目の中の血液の流れをスムーズにするために、一定以上の眼圧が必要ですが、眼圧が高すぎると視神経が傷むなどの障害が出てきます。
異常な場合に疑われる病気
高値…緑内障、高眼圧症
低値…網膜剥離、脈絡膜剥離、外傷、脱水、虹彩毛様体炎など